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Ragnarok OnlineやBelleIsleで遊ぶ人のあれやこれ。

fatal mistake

魔法都市ゲフェン。

マジシャンや、マジシャンを志す者の集うこの街で、いささか場違いにも彼は生まれた。
別に先祖代々この街の人間であったわけではない。
流れ者同然の生活をしていた両親が、所属元のギルドより与えられた長期の任務先がこの街だった、それだけの話。
元より物心ついた後も、彼は語られもしない両親の素性など知る由もなかったし、…ただ漠然と父と母の請け負っていた仕事の内容というのは理解していたように思う。



朔の月の夜。決まって両親は幼い彼を残し家を空けた。
両親揃って家を出る事もあれば、父が、あるいは母が、家に残す幼い我が子の寝顔をしばし見つめてから遅れて外出することもあった。


大きな門構えの家などでは決してない。やむにやまれぬ職業上の事情からか、あるいは流れ者にまともな住居などあるはずもなかったのか、路地裏の、そのまた奥の、一見塵溜めにしか見えない壁の死角にひっそりとそれはあった。
しかし暮らすに困ったことはない。食べるに困窮することもなかった。
生活に必要なものは、最低限でも最大限に用意されていたし、幼かった彼が細々と何かを望めば、両親は彼にそれを買い与えた。
それでも親子がそんな暮らしを強いられていたのは、やはり、職業上の理由があったのだろうと判断できる。


深夜に出掛けた両親が戻ってくるのは決まって我が子が目を覚ますよりも前。
一番鶏が高らかに朝を告げるよりも前。
小さな窓から差し込む柔らかな陽の光を浴びて、目覚めた息子がベッドから降りてトコトコと朝のキスをねだりにやってくるのを、彼らは腕を広げて迎えた。
胸の中一杯に抱きしめられた時の鼻腔をくすぐる石鹸の香りが彼は何よりも好きだったが、寝起きにしては違和感の残るその香りが、不自然なほどの鉄の臭いを隠滅した残り香なのだと気づいたのはいつの頃だったか。


彼が昔を懐古するとき、決まって思い出すのは柔らかな朝日と父母の胸の暖かさ。そして石鹸の香と拭いきれない血臭であった。






その懐かしい街に、彼は何年かぶりに戻ってきていた。
幼い頃父母とともに暮らしていた家は既になかった。あの後区画整理でもあったのか、仮初めの路地裏は本物の路地裏へと取って代わり。塵溜めの様相など微塵も感じさせない。
生まれ育った街でありながら、彼とその両親が暮らしていた証など、欠片も残ってなどいやしなかった。
それはそうだろう。彼の両親は極力、自らの痕跡を残さぬよう動いていたのだから。
両親と同じ職に就いた今、彼はそうすることの必要性を充分すぎるほどよく理解していたし、それについて何ら感慨など抱きはしなかった。


父も母も、既に傍には無い。しかしどこかで生きている事は確かだろう。
親に倣うように盗賊家業に身を置き、独り立ちするのを見届けた2人はそれとなくゆっくりと息子と距離を置き、やがては完全に姿を消した。未だ現役であった彼らにとって、成長した息子は邪魔に違いなかったし、そして彼にとってもあれこれと世話を焼いてくれる保護者は既に必要なかった。


両親と同じギルドに属する事になったのちに閲覧を許されたギルド構成員の一覧に見たのは、真新しいインクの滲む字で刻まれた己の名と、…年月を経て鼠色に色褪せながらもその人物の生存を示す懐かしい2つの名。
そしてちらほらと見る事の出来る、己や両親と同じ姓を持つ同業者の存在。
そこにあるのは、紛れもなく。両親の語らなかった一族の実績であった。
いずれ、父母もまた真新しいインクで刻まれた息子の名を探し、…己が父母に対してそうであるように、その名の上に抹消線が引かれぬ事を祈りながら暮らしていくのだろうことを想像するに固くない。


幼い頃には知るはずもなかったそうした過去と因縁を抱き、生まれた街にただ一人舞い戻ったのは殺したはずの心が柄もなくそうさせたのか。
この街を離れた後に訪れたどの都市とも違う趣のあるたたずまいを、記憶にあるままに寸分の狂いもなく再現してみせた風景に、子ども時代に戻ったかのような錯覚を覚えながらも歩を進める。
行き交う人々の顔には一様に時が止まったかのような穏やかさがある。首都プロンテラの人々の間にあるような忙しない雰囲気もここにはない。
己が一人浮いているように思うのは錯覚ではあるまい。こうした中にあって、紛れもなくアサシンである身を隠そうともしない己は、場違いに違いなかった。
しかしいつかは父母と歩いた道を、同じ目線でこうして一人で歩く日が来るとは思いもせず。
こうして感慨に耽る己は未だ、この稼業を手に馴染ませるのはよほど未熟に違いないことを知りながらも。今だけは。





「…あッ…」


胸への微かな衝撃と小さな悲鳴に似た声で、急速に過去から引き戻される。
見れば足下に頽れて俯く若い女の姿。町娘だろうか、長く伸ばした亜麻色の髪がほっそりとしたうなじを覆い隠していた。
買い物の途中だったのか、ふわりと広がったスカートの上には白いエプロンが重ね着されており。手にしていた籠からこぼれ落ちただろう果実を拾い集めるその様を彼はただ見下ろしていた。
他人にぶつかるまで呆けていたらしい己に小さく舌打ちして彼は踵を返そうとする。こうした世界に身を置く人間がこの様では己も長くはあるまいと、自嘲気味に思いながら。…しかしつま先にこつりとぶつかったものに気づいて視線を落とせば林檎が1つ。

「あ、あの、……ごめんなさいっ!…あたし、あたし、ついぼんやりしてしまって」

ぶつかった相手が暗殺業に身を染める者と気づいた女が、萎縮したように震えた声でたどたどしく声を上げる。
彼はそんな声など聞きはしない。ただただ障害物に他ならない、つま先の林檎を避けて足を踏み出し。
…何気なく振り返ったところで、怯えた様子の女と目が合った。

「……は、ハル…ッ…!?」

女の目がみるみるうちに驚愕に見開かれる。
深いグリーンが瞬きもせずに己を射抜いている。
抱え直したはずの籠が女の手から滑り落ち、再び地面にぶちまけられ、ころころと赤や黄の果実が転がり出した。
つい一瞬前まで怯えた様子だったはずのその変わり様と女の口にした己の名に、彼は踏み出そうとした足を止め。怪訝に目を細めた。

「…誰だ」

知らず問いかけた声は自然と殺気を帯びた低いものとなる。
己を知る人間を、己が知らない。…こうしたことが死と隣り合わせの生活を送る自らの命を縮める原因となる事は痛いほどよくわかっていた。

彼は素早く周囲を見回し、未だ地面に座り込んだままの女の腕を乱暴に掴み上げた。血の気を失ったその顔。
己よりも2つか3つ年上かも知れない。
足もとのおぼつかない様子の女を、こぼれた果物も捨て置いて、通りに立ち並ぶ建物の路地へと些か乱暴に引きずり込んだ。

路地とは言え、大通りからすぐ折れたそこは、陽の光も充分で明るい。
改めて女の顔を見下ろしてみれば、既にその表情に怯えはなかった。ただ、穏やかな光を宿すグリーンの目が、見る見る間に潤み、まろやかな頬に透明の滴を零し出すのを止める術を、彼は持たない。
アサシンになったからとて、彼はようやく少年の域を出ようとするかしないかの瀬戸際にある。
見知らぬ女に目の前で泣かれて平常でいられるほど、哀しいかな年を重ねてはいなかった。

「…っ…誰だ…」

掴んだままの腕を解放し、その手を腰に伸ばして短剣を握る。場合によっては女を殺す事も辞さないつもりで。
吐息のような声で同じ問いを繰り返して投げかければ、彼が後ろ手に握るものが短剣であることを知りながらも女は、涙が零れるのに任せて微笑んだ。
女が返答に寄越したのは言葉ではない。ただ静かに細い腕を動けずにいる目の前の少年の背に回し。
それ以上力を込めることもなくそっと抱きしめたのである。
何も知らぬ者が見れば、仲の良い姉と弟に見えただろうか。未だ彼の身長は目の前の女に僅かに届かず。



一瞬の後に、女は背後の壁に背をしたたかに打ち付けられていた。呻く間もなく、彼女は喉を反らす。
顎の下には冷たい刃の感触があった。
目の前には、真碧の目を冷たく細めた暗殺者の姿。抑える事もなく吹き出した殺気を女に叩きつけていた。
喉に小さな熱の感触。日に焼ける事など知らぬような白い細首につっと零れる赤い筋。
薄皮一枚を正確に切り裂いて、彼は更に彼女を無言で威圧する。


女は喉を反らしたまま目を閉じた。
眦にとどまっていた滴が、また一筋、頬を辿る。
こくり、と女の喉が鳴るのが解った。

長いような、短いような、張りつめていた時間が流れ。
かさついた女の唇から掠れた声が漏れる。










「…あなたの、子どもを生みました……」











カラン、と乾いた音を立てて、彼の手から短剣が滑り落ちる。
頭の隅で、己が2度目の失態を犯した事をぼんやりと彼は思った。






















さほど昔のことでもなかったようにその時の事を彼は記憶している。


乾いた砂漠の街モロク。
街のあちらこちらに蟠る些かの汚濁さえ無視することができるならそこは存外住み難くもない、活気溢れた街である。
…が、その裏側は、蔓延る不正取引、決して正規のものであるはずのない各国の機密情報、命の尊厳など何処吹く風の人身売買など、できれば目を背けて見て見ぬふりをしてしまいたいようなものばかりが溢れている。
表裏一体、全く違う2つの顔を持つ街がそこにあるすべてであった。



父母に連れられこの街にやってきてどれほどを数えた頃だったか。
彼らに繋がる道への登竜門であるシーフギルドから正式に加入の許可を受けてからそう経ってはいなかったはず。
その時には既に父も母も、息子の成長を見届けるようにして己からは離れていて。



ああ、そうか、…と懐古した彼は思う。
あの頃の自分は寂しかったのだと。




それまで両親の庇護の元、不自由なく育ってきた子どもにとって、ただ独り放り出された世界はそう優しいものでもなかった。
日々を重ねるたびにわき上がる焦燥。絶えることのないジレンマ。
シーフ仲間に連れられて足を踏み入れた娼館で女を買う事を覚えたのもその頃だっただろう。

幾多の男を見送り、短くない時を過ごしてきた女たちにとって、彼は未だ年端の行かない子どもに過ぎなかったろうに、何を聞くでもなく、語るでもなく。…彼女たちは彼をよく理解していた。
彼女らも彼も、いわばこの街の裏側に生きる者同士であったから。





しかし彼の記憶の中にある、亜麻色の髪に深翠の瞳を持つ少女は、商売女ではなかった。
表の世界で、…明るいその場所で、かろやかに笑う彼女は、もしかしてこの街のもう一つの顔など知ることもないのではないかと思われるほどに無垢で。裏の住人であるはずもない。冒険者でさえなかったはずだ。
どういう経緯で彼女と出逢う事になったのか、彼は覚えていなかった。
彼の中で邂逅など記憶に留めるだけの出来事でさえなかったのだろう。
偶然か必然か表の世界で顔を合わせるようになって幾度目のことだったか。

後になって考えてみれば、それは少女の、彼に対する精一杯の誠意であり愛情であり、勇気であったのだろうが。
未だ恋も知らず愛も知らず、男女の間にある微細な心の変化を理解できるほどに大人でもなかった彼にしてみれば、己を目の前にして小刻みに震える白い肢体も、緊張に強ばらせながらも笑みを取り繕おうとする健気な表情も、…己の身を糧に裏を生きる商売女たちの其れと何一つ変わるものではなかったのだ。



逢瀬は数度あった。
だがある時を境にしてぱたりとそれは絶える。
果たしてそれは自分に理由のあった事なのか、彼女に理由のあった事なのか。
やはりそれも、覚えてはいない。

















「…エリヴィラ」


ようやく記憶の淵から女の名を思い出して呟いてみれば、彼女は、茶器を用意していた手を止めて振り返り、嬉しげに微笑んだ。
その首の傷はうっすらと後を残すのみで数日もすれば消える程度。既に血の痕は拭われて無い。


場所は閑静な住宅地の密集する一画。居をこうして構えているということは彼女…エリヴィラは、今このゲフェンに暮らしているのだろう。
生活臭の色濃い、しかしそこ住む人間の気質を示すように整頓された室内は、殺伐とした世界を生きる彼にはどこか落ち着かなかった。
用意された椅子にではなく、煉瓦の壁を背にして彼は立っていた。
さりげなく周囲を見回せば、身の回り品や調度品などから彼女が一人暮らしでないことは察せられる。
それを示すように先ほど来客に気づいて顔を見せた年かさの女が彼を見るなり顔を青ざめさせて、開いたばかりのドアを閉ざして姿を消した。その無礼を彼女は詫びたが、暗殺稼業に身を置く彼が意に介する事もない。
顔形や容姿には、エリヴィラと多くの共通点が見受けられた。あの年かさの女は彼女の母親だろう。


いつのまにか手際よく用意された茶がテーブルの上でハーブの香りを漂わせながら湯気をあげている。
どうぞ、とエリヴィラは勧めたが彼は一瞥し。無言で首を振るに留めた。
彼女はそれに落胆するでもなく、ただ静かに頷いて奥の部屋へと消えていく。どういった意図を持って彼女が姿を消したのか、それを察した彼は長く溜め込んでいた息を吐き出した。


しばらくして、その奥の部屋から言い争う声が聞こえた。エリヴィラとその母のものだろうか、女二人の声である。
しかしドア一枚を隔てている為か、その声の内容までは聞き取れない。
部屋の外に出ようとする娘をどうにか引き留めようとしている、そんな雰囲気が察せられた。

未だ解決を見ない声の応酬が、しばらく続くかと思われたその時。
ガチャリと乱暴に開け放されたドアに姿を見せたのは母親の方であった。

壁に身体を預けて油断なく目を見張る彼に、母親はその身にあらん限りの憎悪の目を向ける。
悪意でも失意でも恐怖でもない。…はっきりと、憎悪。
血走った目が見る見るうちに涙を湛えた。瞬きされることもなく。無言の怒りを目の前の男に叩きつける。
歯を剥き出しに歪められた口許が震えていた。しかし言葉が発せられる事はない。

そんな負の感情を向けられることに慣れきっていた彼はゆっくりと壁から身体を離す。
ただそれだけの動作で母親は萎縮し竦み上がった。
ぎり、と彼女の歪められた唇に赤が滲んだ。噛みしめられた唇が開かれた時、そこから漏れだしたのは声ではなく、嗚咽。
母親は次から次へとしゃくり出てくる嗚咽を抑える事もなく、さりとて無言のまま、背後に立ちつくす娘を押しのけるようにして再び家の奥へと消えた。




そのすべてを顔色1つ、表情1つ動かすことなく見守った彼の前に、しずしずと現れたのはエリヴィラ。

彼女のその胸に抱かれた幼子の姿を認めた彼は短く息を吸い。

…思わず片手で口許を覆った。




幼子には未だ自我の目覚めは訪れていないだろう。だが既に一人で立ち歩きするくらいはできるのではなかろうか。2歳には届かないだろうが赤ん坊と言うには、しっかりとした目鼻立ちがその性別までもを明確にしていた。

窓から漏れる陽の光を静かに反射して返す銀髪。
目の前の見知らぬ男を興味深そうに見つめてくる、空を映し込んだような深い碧の瞳。



そこで初めて彼は、エリヴィラの母親がああまで昂った本当の理由を悟った。


あれは娘を奪われた母親の怒りではない。
憎むべき男の中に、己の愛する孫娘の面影をはっきりと見て取った女の、血を吐くように激しい慟哭だった。







「キィナ」

幼子の名前だろうか、女の子どもに付けられる名前を、一呼吸の後にエリヴィラは口にした。


「普段はキィと呼んでいるの。とても元気でね。病気1つしないわ」



可愛いでしょう、そう言わんばかりに彼女は、他の誰にもあり得ないような優しい手つきで愛おしそうに娘の髪を撫でた。
キィと呼ばれた幼子は、未だ目の前の珍しい客人が気になるのか、母と彼とを交互に見返し、何かを強請るように母の服の端を握り込む。



口許を抑えたままの震える手を、ようやくのことで下ろす事に成功した彼は、大きく息を吸い。幼子と同じ碧の目を細めて口を開いた。



「エリヴィラ。なぜ生んだ」



低い低いその声の中には、暗に非難の色が含まれている。
しかし彼女は彼のそんな科白をも覚悟していたのか、動じる事もなくまっすぐに見返すのみで。



「生まれる前に、……殺すこともできたはずだ」



わずかに、語尾が震えてしまった事にエリヴィラは気づいただろうか。
彼は心底己の未熟を呪う。叩きつけたい数々の言葉を飲み込んで。幼子から目を背けるようにして床を睨み付けた。



「…ハルク」

投げかけられた問いかけに答える事はせずに、俯いたまま言葉を発する事をやめた彼を見つめ、エリヴィラはその名前を呼んだ。



「生まれてしまったこの子を殺すことは、あなたにはできないのね」




揚げ足を取った形の彼女の言葉に、今度は彼が唇を噛みしめる番だった。
記憶の中にある少女は、こんなにも強い存在だっただろうかと。

思えば初めから彼は負けていたのだ。
請われるがままに、のうのうとこの家に足を運んだ己が悔やまれた。

その腕に幼子は抱かれていなかったけれど、彼女は確かに母親だった。
記憶の中のあの少女に、死を訴える刃の前でも気丈に微笑むだけの強さはなかったはずなのだから。




母親の腕から逃れた幼子が、おぼつかない足取りで父である人のもとへと向かう。
小さなモミジの手を広げ、薄汚れたシーフクロースの端を掴むのにも、逃れる事すらできずに彼は。

今日、幾度となく繰り返した己の大失態の数々を数える事を諦め、深々と溜息をついた。



それは、父の衣に顔を埋めた小さな幼女が、そこかしこに染みついた鉄の臭いに癇癪を引き起こす数秒前の出来事。






テーブルの上では未だ冷めやらぬハーブの香る湯気が、窓から差し込む光の中へとゆるやかに溶けていた。












end.
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private time

「…それで?なんなワケ、あの娘?」




処はゲフェン。
昼をいくらか過ぎ、陽の光もいくらか和らいだ午後。

ごくごく一般的な庶民の宅内である。
居間の丸いテーブルの席について、入れたてのお茶を静かに啜りながら一方的な説教を受ける男は、泣く子も黙る暗殺者の姿をしていた。


普段、容赦ない日中の日差しに晒されているはずの貌は似合わず白く、未だ若人と称しても憚らないこの男をさらに若く印象づけることに一役買っていた。カップの水面をぼんやりと見ている目は蒼く澄んでいたが、戦場に出れば躊躇いもなく飛沫く血潮を映して笑むことだろう。
身につけたマフラーにはそこかしこに古い血の染みが滲んでいたし、使い込まれているだろう短剣の刀身は血脂の曇りもなくよく手入れされていたが、握りは元の色が何色であったのかもわからないくらいに変色している。
それらは少なくとも男がこの稼業に身を置いて短くない事を示していた。

しかし同業者が近くにいたならば、男から香るそれが馴染んだ血臭ではなく、花の石鹸の香りであることに疑問を持っただろうか。血を浴びればさぞ映えるだろう銀髪も、今はフローラルの香りをさせて何色に染まる事もなく午後の光を弾いている。
だが幸いにも彼の纏う不自然なほどの爽やかな香りにツッコミを入れる人物はここにはいない。


彼の目の前にいるのは今年15歳を迎えた少女である。
解けば広く背を覆うだろう銀髪も、今は高くまとめて結い上げられている。
その髪から香るのは、先の暗殺者の男と同じフローラルであったりするが、やはりツッコミを入れるお節介者はいない。
細面の顔には笑みとも怒りともつかない表情が浮かんでいる。
普段はつぶらと言って良いほど大きな瞳も、今は鋭く細められていた。
そして男の向かいに椅子に腰を下ろすでもなく腰に両手をあてがい、歴戦の猛者に違いない殺人者に臆する事もなく平然と向かい合っているのだった。

第三者があれば、この男と少女との間に確かな血のつながりを示す共通点を多く察する事ができるだろう。
少女が男に怯えるはずがない。
ともすれば年の離れた兄妹としか映らないこの2人の間柄は、父と娘であった。





「…もう何度も説明したと記憶しているが」

そう言って男は茶器を置き、目の前に立つ己の娘を見上げる。
しかし、なによ、と言いたげな一瞥を受けるとそそくさと視線をテーブルの隅に逸らした。

「おまえの見たあの娘は、私のギルドマスターだ。…おまえの勘繰るようなことは何もない」

目を逸らした先のテーブルに、バン、叩きつけられた娘の手を見やれば。
肩を竦めてやり場のない目を伏せる。慌ててカップを取り上げて口を付けたのは茶を味わう為ではもちろんなかった。

「…だから、嘘をつくならもっとマシなものを考えたらどうなの、お父さん。どう見たってあの子、私より年下じゃない」

追撃を寄越す娘の科白に、この日何度目かになる溜息をついて男はゆっくりと首を振る。
手に持っていたカップの茶はすっかり冷め切っていた。娘の母親が買い出しに出掛ける直前に男の為に用意したものだったが。

「あの娘は16だ。見かけはどうであれ、おまえよりも年かさにあたる」

冷めた茶を飲み干して逃げ道であったカップを受け皿に下ろすとテーブルの上に両手を組んで少女に向き直った。

「…おまえの不信があの娘の若さにあるのなら今すぐ考えを改めるがいい。…この世界は広い。おまえと同じ年頃の者が上級職に就くことは決して珍しくはないし、ギルドの統率を執っている事についても同様の事が言える。…補足するならば私には、自分の娘ほどの女を相手にするような幼女趣味はない」


「…へぇ」

低く笑みを浮かべて、少女はようやく父親の前の席に腰をかける。
顎を引いて、ひたと父の目を見据えてから頬杖を突き。

「幼女趣味のないはずのお父さん、…お母さんが私を生んだのは今の私と同じ年よ」

「……………。」


痛恨の一撃に叩きのめされた父は沈黙を守った。視線は今度は娘の背後の壁に所在なく逃げている。





もちろん少女は多感な年頃ながら、己の出生の事実も弁えていた。
母が若くして出産に思い立った経緯も知っているし、さらに父がその母よりもいくつも年下であったことも。
彼女は、この年若い父親を密かに誇っていたが、それを口に出すこともない。

「…私とておまえにそう責め立てられる覚えはないが。……おまえは確かに私の娘だが、おまえの母は私の妻ではない」


言い逃れているようで更なる墓穴を掘る父を、しかし意外にも娘は責めることはない。
頬杖をついたまま、じぃ、と見つめると、妙に理解の浮かぶ笑みを示した。


「ストーップ。もういいわ。…ホントはわかっているの、お父さんの言っている事に嘘はないんだって」

ぴ、と娘が指さしたのは男の懐から覗くギルドエンブレム。
未だ真新しいそれを見ながら続ける。

「でも、今まで単独行動を決め込んでいたお父さんがギルドに加入したっていうんだもの。そのマスターが私と年の変わらない女の子だっていうんだもの。……ちょっとやっかみたくなっただけ」


ぷう、と年頃の娘相応に頬を膨らませる様子を目にすれば、父親歴だけは長い男は、娘の心情を正しく悟った。
思わず弛んでしまう頬はどうしようもなく、そうと自覚はないが笑みさえ浮かべて彼は腕を伸ばし、娘らしく丸みを帯びた頬を指先でなぞる。


「心配せずとも、私の子は後にも先にもおまえだけだ。…私の子の母になるのもおまえの母親しかいない」



笑みさえ含んだ父の低い声に、少女は数度瞬いて。くすぐったげに笑うと頬に触れてくる手に頬ずりを返し。石鹸とわずかな鉄の臭いの香る手のひらに唇を掠める。


「嬉しいけど、…でもお父さんはまだ若いわ。お母さんも反対したりはしないと思う。……結婚、しないの?」


言葉もなく、ただ首を振るだけに留める父を見やって少女は、ところどころ皮膚の硬化した彼の手を取って両手で握りしめる。
幾多の命を奪ってきたものに違いはなくとも、それは自分には優しい愛撫だけを与えてくれる手だった。
父の無言の返答は、自分の見知らぬ新たな家庭が築かれる可能性のないことを明言していたが、同様に自分の母親が彼の妻となることもないのだという答えも示している。



「良いんだからね!…私は何も知らない子供じゃないし、お母さんがそうだったように、もう赤ちゃんだって生めるんだから!」


うって変わったように弾む娘の声に、男はぴしりと硬直する。
娘は手のひらから父親に走った一瞬の緊張を知って吹き出すように笑ったが、笑うどころではないのが哀しくも父親であった。
つい先日、まったく同じ科白を己のギルドマスターから聞いた記憶がありありと蘇る。
あの少女の薬指には約束の指輪が輝いていて。彼女はそれを己の命よりも大切だと臆面もなく言い切った。
思わず己の娘の指に視線を走らせたとしても誰にも咎められまい。



「…約束をした男がいるのか」

とりあえず娘の指にそんな存在を示す指輪のないことを確認しながらも、男は低く消え入るような声で問いかける。
どこまで父の内心を理解しているのか、娘はあっけらかんとした様子でころころと笑った。


「まーさか。お父さんたちと一緒にしないで」


その答えに男は心底安堵の息をつく。
仕事続きでほとんどこの家に立ち入る事がなくとも、やはり実子、娘の行く末は心配に違いはなかった。
…しかし。


「でも、籍を入れたい人がいるの」


ぽそりと告げられた一言に、男は今度こそ驚きに目を見開いた。
茶を飲んでいれば盛大に吹いていたことだろう。
男の驚きは、未だ手を握りしめたままの娘にも伝わっただろうに、今度は娘は父親のその狼狽を笑う事はない。
真摯なその目はどこまでも真剣だった。


「私は、その人の籍に入りたい。…お母さんもそれを望んでいるわ。あとは、お父さんが頷いてくれれば、私はその人と一緒になれる」


「………っ…」



早すぎる、とかよく考えろ、とか。そういった忠言が男の脳裏にいくつか浮かび、消えていった。
どれもこれも己の立場では説得力を持たぬものであり、ついには己の若い日の過ちを後悔するに至る。
心衰に顔色を土気色にした男が吐きだした一言はあまりにお粗末だった。



「……キィ、…相手はどんな男だ」


考え抜いた末に問いかけられたその言葉に、名前を呼ばれた少女はまっすぐに父親を射抜く。
握りしめていた手を解放し、軽く片手を掲げると




「こんな男よ、お父さん。……鏡をご覧になったらいかが?」


彼女がまっすぐ指さし示したのは他ならぬ彼自身。
わけもわからず目を白黒させている男に少女は続ける。



「私をお父さんの籍に入れてちょうだい。……私を娘だと認めてくれるなら、あなたの名前を継がせて」


「…しかし、キィ…!」


驚きの表情を浮かべたまま言いつのる父の唇を、身を乗り出した少女が指で触れる。
父が言葉を飲み込むとその指を離し、乗り出した体勢のまま、両腕をテーブルについて彼を見下ろす。


「わかっているの。…お父さんが私を認知はしても、お母さんと結婚しないのはどうしてか。…たとえお母さんを女性として愛していなくても。…そこまで結婚を拒む理由が、お父さんにはそれ以外に他にないわ」


娘を見上げたまま黙り込む男と目を逸らすことなく、少女はひたむきに告げる。


「…怖いのね。私やお母さんに、同じ名を名乗らせることが。……お父さんの家系が暗殺者を多く輩出している一族だから。何かあった時に、ただの一般人でしかない私たちが巻き込まれることが。…怖いんだわ」



男は否定も肯定もなく。片手で額を抑えて溜めていた息をつく。
ただ娘からは視線を逸らしたまま、話を打ち切るように席を立ち、部屋の奥へと足を向ける。
何も言わずに背を向けた父に、娘はテーブルの表面を見つめたまま勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「お父さん、私、ノービスになるから! ……幸い父親に似たのか素早さには自信があるの。強くなるから。……そしたら、認めてくれるよね?」


男がその言葉を耳にして立ち止まることなど構いはしない。
くるりと勢いよく振り返ると少女は父に向かって駆け出し、ばしりとその背中に平手をお見舞いする。
彼の前に回り込むと、少女は満面の笑みで言い放った。


「明日、プロンテラに行くわ。つきあってよね!」


あまりにあけっぴろげで嬉しそうな笑顔に、男は言うべき言葉を失う。
反対の為の言葉と、プロンテラで転職可能な職業のいくつかが瞬時に脳裏を飛来し。

それだけ告げて家の奥へと引っ込んでしまった娘を呆然と見送って男は立ちつくす。
15の娘の平手にしては、背中はずくずくと鈍痛を訴えてくる。恐らく赤く腫れ上がっていることだろう。



「…モンクにでもなる気か…?」








男のぼやきを聞き止めたものは誰もいない。











end.
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ダンデライオン









─────ああ、呼ぶ声が聞こえる。





耳に障る音がオレの名前を呼ぶ。
岩肌を叩きつける水の音。低く唸りを上げながら通り抜ける冷たい風。
ドッ、ドッ、と不気味な低い振動とともに内側から滲み出して逆流する何か。
もうあまり役には立たない聴覚が雑音ばかり拾い上げる中で、それでもその声は不思議と強く耳に残った。









…そういえば、オレがあれを拾ったのもこんな雨の日だった。
















乾きの街モロクを遠く地平に眺める砂漠地帯。
このあたりに住む者にとってまとまった雨は命の水だ。
人々も、この地に住まう異形の者どもも、この雨を待ち望む。
しかしその恵みを蓄える力に乏しい大地は、その恵みさえも一時の脅威へと変貌させていた。


オレが彼らを目にすることになったのは偶然だった。
降りしきる雨の中、それは所属するアサシンギルドからモロクへ戻る帰り道。


砂を叩く水の音と、水煙。
飛び交う獣の咆哮と、細い悲鳴。


最初に戦線を離脱して岩陰に走り込んだのは、持ち前の身軽さで危機を脱した盗賊稼業を主とする娘だった。
血と砂と水にまみれた彼女にはもう戦う力などは残っていないように思えた。
青ざめた頬を、未だ苦戦の中にある仲間に向けて、震える身体はガチガチと噛み合わない歯列を止めることすらできない。
彼女の視線の先では、背中を合わせるようにして立ちつくす弓手と修道士。2人の少年の姿があった。
矢は既に大地に頭を垂れている。戦意は喪失されて久しく、最後のあがきで構えられた弓も震えて狙い定めるどころではない。
弱者を嬲るように弄ぶように、そんな2人を取り囲み、身体を低く構えて唸りを上げる狼どもはすぐにはその腹を温かな血肉で満たそうというつもりもないのか、じわりじわりとその円を縮めていくばかりで。
からかうように彼らの身体を爪で裂いては、流れ落ちた血を砂ごと食んだ。
戦う力を持たない修道士が出来るのは、そうして得た傷を癒すことだけ。
おかげで致命的な傷に至らないが、修行途中の修道士であれば戦う力を無くした弓手と共に、いずれ精神力が枯渇して大地に伏し砂漠の強者の糧となるだろう。

狼どもを撃退する力が臨めない限り、それは決定事項だった。
いくら傷を癒そうとも流れ出る血には限りがあり、叩きつける雨は容赦なく体力を奪う。


そもそも彼らに勝機はなかった。
未だ年若く、冒険者としても未熟に違いないそのパーティーは多分、突然の雨に土地勘と方向感覚を失って迷い込んだのだろう。
砂漠に住まう狼たちにしてみれば、そんな彼らは絶好の獲物だったに違いない。
雨が気配と臭いと足音を消し去ってくれる今ならば、未熟な子供3人に悟られぬように近づくことはさぞ容易だっただろう。


そう、雨は気配と臭いと足音を消し去ってくれる。
同時にそれは、オレにとっても、有利な条件であるということだ。










九死に一生を得た小さな冒険者達は、突然現れた救いの手を目の前に、呆けたように立ちつくしていた。
己を食らうはずだった狼どもは既にただの肉塊となって砂に伏している。
岩陰に隠れていた少女が仲間のもとへと駆け寄ろうとして、一瞥を投げて寄こした救い手の視線に、ヒッ、と短く悲鳴を上げて立ち竦む。
命の恩人は、獣の返り血にまみれた暗殺者の姿をしていた。
未だ降り止まない雨の中にあってもわかる、立ち上る噎せかえるような血の臭い。
彼の両手に握られたままの短剣からは、留まることがないように薄紅色の液体が刀身を伝い流れ落ちていた。









遠く狼どもの徘徊する姿が完全に消え失せても、オレは無言のまま、ただひたすら砂漠を歩いた。
満身創痍のガキどもが適度な距離を保ってその後ろをついてきていることはわかっている。
雨の音に混じって、ひそひそと何か囁く声が聞こえた。
その声が耳に届けば、ようやく大地を叩きつけていた水の礫がなりを潜めたことに気づく。
囁かれる言葉の内容は、推して知るべし、だ。
冒険者として正規に登録されている職ではあるにしても、暗殺者を快く迎える者など決して多くはない。
対極に位置する聖職者どもともなれば、それは顕著だった。
この同じ土俵の上で、同じ空気すら吸いたがらないに違いない。

しかしそれは仕方のないことだ。暗殺者としての力を用いての殺人は公に禁忌とされている。しかし秘密裏に、決して少なくはない暗殺依頼がアサシンギルドに舞い込んでいることをオレは知っている。
そしてオレ自身、ギルドからの指令でその任務を遂行したことも幾度かあった。
アサシンギルドとしてのその活動は、禁忌とは言いながら、公然の秘密だった。






そう、だからだ。
モロクの街にたどり着いたとき、仲間と共には立ち去らずに一人、オレの元に留まった修道士の少年を怪訝に思ったのは。
オレが避けきれなかった獣どもの爪の一閃の痕を手の甲に見付けた奴は、何も言わずにそれを癒してみせた。


「…おまえ、オレが怖くないのか」


追い払うつもりで低く尋ねてみれば、修道士は満面に笑った。
街にたどり着くまでに小降りとなった雨が洗い流したのだろう、血と砂が拭われてよく見てみれば、少年の髪は光を弾いて七色に輝く銀色。
ようやく雲間から姿を見せた陽の光の下にあっては、彼は。







────まるで、太陽のようだと。オレは思った。




























…ああ、畜生。

結局、奴は宥めてもすかしてもオレの傍から離れなかった。
一時だけ、ようやく離れたと思ったら、奴は数日後には聖職者となってオレの前に立っていた。





ああ、畜生。
オレのような人間が、傍に置いていいような奴じゃあなかった。
あんまり近すぎて。太陽に近すぎて。
こんなことになっちまったじゃねえかよ。
その陽に焼けているのかと思うほど、身体が熱い。





   空が遠い。空が狭い。





この期に及んで、まだあの野郎の心配をしている自分に笑い出しそうだった。
愛用していた短剣はもう手元にはない。束に琥珀を埋め込んだ、あの短剣は今は。
オレが上に残してきた魔物の胸に埋め込まれているだろう。
そして残るもう一刀は、オレの傍らでとっくに息絶えている異形の眼窩を深く抉っていた。



魔物と心中することになるとはなあ。






雨が降るからだな。
もう視界も霞んではっきりしないが、見上げた崖の上には奴の気配がある。
そのくらいはまだわかる。
そんな声でオレを呼ぶな。




さっきも言ったじゃねえか。もうここで終わりにしようってさ。
このとおりオレなら平気だ。男のくせにその泣き声をなんとかしやがれ馬鹿が。
おまえとはここで終わり。未熟な聖職者のお守りも疲れちまった。
オレとおまえの道は今ここで分かたれた。
良い機会だから、このままオレは沢を降りて別の道を逝く。
おまえはまっすぐ上を往け。






もう一度そう叫んでやりたいのに、声を張り上げようとした喉は、粘膜が張りついたように引きつって。ゴツゴツと嫌な感触を伝えてくる。
ようやく喉を開けたと思ったら、出てきてくれたのは声ではなく。
目の覚めるような色をした、血の塊。











─────まだ、呼ぶ声が聞こえる。

耳に障る音がオレの名前を呼ぶ。
岩肌を叩きつける水の音。低く唸りを上げながら通り抜ける冷たい風。
ドッ、ドッ、と不気味な低い振動とともに内側から滲み出して逆流する鮮血。
雨の水に溶けて薄紅色のそれは、………ああ、だからか。あの時のことを思い出したのは。










まだ泣いてんのか馬鹿が。
不思議とこっちはいい気分なんだ。最後の最後までオレの邪魔をすんじゃねえよ。
おまえが呼ぶところにオレはいない。もうとっくに沢に出ちまったんだ。
返事がないのはそのせいだ。


だからおまえも早く行け。
オレの前から消えてしまえ。













─────教えただろ。

いつだって、太陽が頭上を過ぎ去ったそのあとに
本当のひだまりは、やってくるものなんだ。










end
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SHORT STORY > TIAMET | comments (968) | trackbacks (0)

Short Story

ラグナロクをネタに、軽くSSを書き殴る場所。
主に自キャラとか自キャラとか自キャラとか。
オリジナルは……どうなの、まあ気が向いたら。



自キャラ萌えですが何か。


ギルメンお友達の皆様のキャラクターが登場する場合がありますが
基本的にお名前だけお借りしております。

ヽ(`Д´)ノ ケセヨ


って人はご一報下さい。


今のところ、本鯖だけー。


  >> Tiamet
SHORT STORY | comments (701) | trackbacks (0)
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